筑摩全集のオリエント、エジプト の部分を文庫化した本です。ようするに再利用本ってことですね。
タイトル詐欺的なところがあって、エジプトの神話を集めたものではありません、古代エジプトの色々に残っている墓の壁に彫られたものだとか、色々と断片的に残っている文章を集めたものです。
エジプトには、インドにおけるバーラタや、聖書みたいにすべてをまるっとまとめた本みたいなものが存在せず、すべていろんなものに断片として残されているだけです、それは古代エジプトっていう国が滅んだのが原因ですね、一応イスラエルにせよ、インドにせよ、国はそのまま残ったのですが、エジプトは古代ローマに植民地にされてから、さらにイスラム国家に占領されてから、完全に別の国になってしまったために、断絶してしまったのですね。
もちろん死者の書、みたいな一応のまとめはあるんですけど。それに加えてエジプトの神話は時代や都市ごとにそれぞれ違う神話ってのが問題です、時代によって神話にどんどん手を加えて変えてしまうので、お馴染みの神話、ってことになってないようです。
しかしながら古代エジプトの文明ってのは圧倒的に古く、今から3500年前とかのものが残っていたりする、聖書はもちろん2000年前の話、バーラタも出来たのは1700年前くらいの話、古代エジプトはそれよりもさらに1000年も古いのですからね。
1000年って、こいつはどえらい時間ですよ。1000年違ければ何もかも違う。世界最古のほにゃらら、はだいたいは古代エジプトのものです、世界最古の歌、物語、神話、本、戦争などなど・・・
けれども現代のエジプトは、あまり羨ましい国というイメージはまったくない、いっつも軍事独裁、隣の国はいっつもバキバキに戦争、紛争、内戦、に囲まれていて、誰もがヨーローパへ脱出しようとしてるってな状態です、エジプトというのは基本的に土地がものすごい豊かなのですが、そういうイメージも無いですね。
つまり文明は長さじゃないということのようです、歴史が長ければ賢くなるというのは嘘です。人間を賢くするものは一体なにか?これはかなりなかなか難しい問題ですけど、やっぱり、閉鎖的にならずに外から貪欲に学ぶ、これだと思いますね。
謙虚になれ ソクラテスじゃないですが、これぞ本当の叡智ってもののようです。