比較的最近のミステリー小説を読むなんて珍しいですね。ちょっと気分転換というわけ。
このサイモン・ブレットという作家は、オックスフォード大卒、BBCの演劇部門に就職という、なんというか、なんだか嫌みったらしい経歴の持ち主w
タイトルの通り、このセリフはシェイクスピアのマクベスの中のセリフ
「マクベス」は呪われた演劇として有名でそれが上演されると必ずなにか事件が起こる・・・っていうものです。
マクベスってのはあれですよ「洗っても洗っても血が落ちない!!」のやつです。
殺人者がどんどん精神的におかしくなっていくという、サイコスリラー的なものの原型と言えるものです。
でもそういうと、オスカー・ワイルド的な、シェイクスピアの引用を散りばめた、メタ小説みたいなものかな?と思うでしょうが、この作品は、現代の売れない俳優のおじさんが探偵役で、エージェントだの、労働組合だの、っていう卑近な話題がたくさんでてくる、コメディ色の強いものです。確かにテレビ演劇っぽい。
ヒロインとしてフェリシアという才能のある美人の女優が出てくるんですが、だいたい海外の作品で、おじさんが若い美女にモテるという、作者の願望じゃん、っていう展開のものが多いわけです、日本だとキモヲタが美少女全員にモテまくるってのと何も変わらぬ。
それはいいとして、才能のある美人、ってのの現実感の無さよ。フェリシアはシェイクスピア演劇の研究を欠かさない、めちゃくちゃプロの女優なんですが、ちっともイメージがわきません。もしかイギリスには本当にそういうタイプがいるのかも?シェイクスピアの母国なわけだし。
日本では女優っていうと頭空っぽのバカ、枕営業しか取り柄がないってのばっかしなんでね、それは女優が悪いわけじゃなくて、大衆がそういうのしか求めないからなんですけどね。(シェイクスピアの研究をやってる女優がどれだけいるって話)
イギリスでは、ちゃんと女優の演技を見ようっていう、客、がいるのかも?いた、のかも?
シェイクスピアはもちろん天才なのですが、その演劇を支持した客、残そうとした客、がいた国なんですからね。